学校行事2023.06.01
6月1日(木)、「命の大切さを学ぶ授業」というテーマのもと、少年犯罪被害当事者の会・代表の武るり子先生を講師にお招きして、『少年犯罪で息子を奪われた母の想い」と題した講演をしていただきました。
武さんは、27年前、言われもないことで因縁を付けられた結果、暴力を受け、最愛の息子さんを16歳という若さで突然、失いました。
当事者にとってどんなに辛く悲しい事件でも、子ども同士の「けんか」と片付けられ、時とともに忘れられてしまいます。そんなことではいけないと、一念発起して立ち上げたのが、“WILL”というグループだったそうです。その立ち上げに際し、武さんに勇気をくれたのは、「なんでも手伝います」と事件のこと、最愛の息子さんの話を聞かせてほしいと武さんのもとを訪ねてきた大学生たちだったといいます。グループの立ち上げから今年で25年を迎えるそうです。その経験をもとに、「若いうちからいろいろなことに興味をもつこと、継続していくことの大切さ」を、武さんは伝えてくださいました。
そして、武さんは過去の辛い経験の1つに偏見をあげました。心ない偏見の数々が武さんを襲い、日常生活すらままならない状況に追い込まれたといいます。そんな武さんを救ってくれたのは、正直に本音を打ち明ける勇気だったそうです。追い込まれた武さんが勇気を出して、近くの人たちに「助けて!」と話すと、その言葉に反応したたくさんの人が助けてくれたといいます。さまざまな人のサポートを受け、長い年月をかけて、立ち直っていった武さんは、最後にこう話しました。
「まずは、自分を大切にしてほしい、自分のことを好きになってほしい。自分のことを大切にできたら、他人のこともきっと大切にできるし、何の変哲もない毎日を“しあわせ”だって感じることもできる」
自らの辛く悲しい経験を、赤裸々にお話しくださった武さん。生徒たちに、大切なメッセージをたくさん送ってくださいました。
会の最後には、生徒会長の久保田さんが登壇し、「自らのいのちを大切にすることはもちろん、世界中の人々の平和や幸福を願いながら、毎日一生懸命に生きていきたい」とお礼のことばを送りました。
甲斐清和では、このような道徳講演会の機会はもちろん、日々の学校生活のさまざま場面を通じて、これからも生徒一人ひとりが、自分のことも、まわりのことも大切にできる心を醸成していくための「道徳教育」を大切にしていきます。